愛宕念仏寺
一体一体表情も姿も異なる1,200体の石造の羅漢像。彫ったのはプロの彫刻家ではなく、荒れ果てた寺院の再興を呼びかけた住職の声に応えた、ごく普通の人々だった。
保存地区に指定された嵯峨鳥居本の町並みを歩き、大きな朱色の鳥居をくぐり、嵐山北部の山中深くへと分け入っていくと、やがて愛宕念仏寺にたどり着く。長らく京都の中でもあまり知られていない存在だったこの寺院は、近年ひそかに人気を集めつつある。
この寺院を特別なものにしているのは、1,200体の石造羅漢像を彫ったのが誰かという点だ。プロの彫刻家ではなく、自らも仏像彫刻と修復を手がける住職がこの荒廃していた寺院をこの地に移した際、その呼びかけに応えた一般の参拝者たちである。像はひとつひとつ表情も姿勢も個性も異なり——笑っているもの、眠っているもの、楽器や小さな動物を抱えているものもある。
正規の訓練を受けていない人々の手によって一体ずつ作られたからこそ、この像の群れには、洗練された画一的な仏像にはしばしば欠けている温かみと個性が宿っている。宗教美術の美術館というより、1,200の個人的な想いが形になった場所と言ったほうが近い。
穴場と言われる理由
ただでさえ静かな嵐山北部の寺院巡りルートの中でも、最も奥まった最深部に位置し、最寄り駅から徒歩35〜40分かかるため、わざわざ目指してくる人しかたどり着かない。
行き方
2-5 Fukatani-cho, Saga-Toriimoto, Ukyo-ku, Kyoto 616-8439。嵯峨嵐山駅から徒歩約40分。帰りは京都バスを利用するとよい。